ノスタルジックで小学生なおすすめアニメランキング 2

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月12日の時点で一番のノスタルジックで小学生なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

85.9 1 ノスタルジックで小学生なアニメランキング1位
かくしごと(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (779)
3004人が棚に入れました
ちょっと下品な漫画を描いてる漫画家の後藤可久士。一人娘の小学4年生の姫。可久士は、何においても、愛娘・姫が最優先。親バカ・可久士が娘・姫に知られたくないこと。それは……自分の仕事が『漫画家』であること。自分の“かくしごと"が知られたら娘に嫌われるのでは!?“愛と笑い、ちょっと感動のファミリー劇場がはじまる――"

声優・キャラクター
神谷浩史、高橋李依、花江夏樹、八代拓、安野希世乃、佐倉綾音、村瀬歩、内田真礼、加藤英美里、浪川大輔、小澤亜李、本渡楓、和氣あず未、逢田梨香子、古城門志帆、原由実、小山力也、沼倉愛美
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

爽快なエンディングに、お見事!!

久米田康治原作、制作亜細亜堂。

父のかくしごとは下品なエロ漫画家、
娘の生誕を機に一生職業を隠すと決めた。
父と娘のちょっと愉快な日常風景。

原作のポップな絵柄と色彩に、
思わず手に取り見惚れた経験があります。
久米田デザインにはどこか魅了される。
思えば軸がぶれず美少女たちを、
コミカルに描き続ける作家でしょう。

定番であろう神谷浩史の声。
場面がジャンプを重ねイメージだけが、
色彩豊かに記憶に残る演出の数々。

大瀧詠一の「君は天然色」が流れる、
EDの爽快さはアニメ史に残る仕事である。

まさに思い出はモノクローム、
いったいどんな色が付くのでしょうか。

最終話視聴追記。
テンポの良い良質なコメディで、
時にほろりとする優しさも持ち合わせている。
オンとオフの差が情感を生んでいますね。
{netabare}母の存在が演出上効果的であろう。{/netabare}

父のかくしごとは慈愛に満ち溢れ、
心躍る音楽が僕たちを健やかに清らかにする。
制作会社の頑張りに称賛を贈りたい。

ひめごとはいつも夏の匂いがする。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 68
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

かくしごとは楽しいですか?

アニメーション制作:亜細亜堂、
監督:村野佑太、シリーズ構成・脚本:あおしまたかし、
キャラクターデザイン:山本周平、
総作画監督:西岡夕樹・遠藤江美子・山本周平、
音楽:橋本由香利、原作:久米田康治

これまで久米田康治の作品は、
何度も手に取る機会がありながら、
結局1度も親しむことなくここまで来てしまった。
週刊少年サンデーを長年読んでいたので、
『行け!!南国アイスホッケー部』や『かってに改蔵』が
連載されていた頃は、雑誌を定期的に読んでいたのに
いつも飛ばしている漫画のひとつだった。
そして『さよなら絶望先生』や『じょしらく』は
アニメを録画したのにちらりと観ただけで、
ずっと放置したまま…
大人になってからは、ギャグ漫画と縁遠くなったのも
大きな理由だが、今回ようやく目にすることができた。

漫画家の後藤可久士は、小学4年生の娘、
姫とのふたり暮らし。
いつも娘の姫のことを第一に考えて懸命に仕事をしていた。
仕事はちょっと下品なギャグ漫画家。
姫から嫌われたくないために、漫画家であることを
ひた隠しにして、家を出るときはネクタイをして
会社員を装っていた。
可久士は、漫画家であることを「隠しごと」にしていた。
それは「書く仕事」だというわけだ。
{netabare}それ以外にも「隠し子と」という意味もあり、{/netabare}
タイトルにいくつもの意味を持たせている。

話題になったのはEDの『君は天然色』。
大滝詠一が同じはっぴいえんどのメンバーだった
松本隆に作詞を依頼した1曲。
はっぴいえんどとは、当時の日本語ロックの先駆者で、
細野晴臣、大滝詠一、松本隆、鈴木茂という面子。
全員が長年、日本の音楽業界をリードしてきた大物だ。
大滝詠一はアルバム『A LONG VACATION』の制作にあたり、
わざわざ松本隆の自宅を直接訪れて依頼したという。
作詞を快諾した松本隆だったが、
幼少から仲の良かった病弱な妹が心臓発作で倒れてしまう。
とても創作活動ができる状況になかった松本は、
大滝に断りの連絡を入れたたそうだが、
大滝は、レコードはいつリリースしてもいいので、
書けるようになるまで気長に待つと言った。
その後、数日で松本の妹は亡くなってしまう。

「思い出はモノクローム 色をつけてくれ」という詩は、
松本隆が妹の最期を看取った病院からの帰り道で、
沈み切った心情のなかで見た渋谷の街並みのイメージだという。
ラブソングでありながら、大切だった妹への想いがこめられている。
そういう意味では、作品にぴったりの曲といえるだろう。

EDアニメーションも当時のジャケの雰囲気を再現するなど、
こだわっており、80年代当時、
この曲が大好きだった人は歓喜だっただろう。
実際、現在耳にしても全く色褪せてないように感じるのは、
アメリカン・ポップスを自分のなかに取り込んで、
日本語の曲に昇華させているからだと思う。
この曲が面白いのはサビの部分。
何度聴いても違和感を感じるのだが、
それは大滝詠一の声の音域に合わせるため、
イントロで入っていく音が歌詞に入ったところで、
キーが下がるため。サビが低く感じて、特殊な印象を受ける。
カラオケで歌うと、さらにそれを感じることになる。
また、エフェクトのかかり具合で好みが分かれるが、
イントロから最後まで、とても洗練されている。

本編は可久士と姫のコメディが中心。
小学4年生の娘に漫画家であることを
ひた隠しにする様子に加え、アシスタントや
出版社の担当編集とのやり取りが描かれる。
個人的には素直で可愛らしい姫の様子に
癒されるのが楽しみな作品だった。
細かく挟まれる漫画家ネタや担当編集との
コメディにはそれほど食指が動かなかったが、
クスッと笑える楽しさがある。
そして、1話から高校生になった姫が
可久士の漫画が保管されていて、
姫のために用意された年齢ごとの箱がある
鎌倉の家を訪れるシーンが毎回挿入され、
その秘密が最終回に明かされる。
個人的にはこの構成はあまり好みではないが、
作品自体が地味な内容なので、
視聴者を引っ張るためには一定の効果があっただろう。

声優が参加して漫画のコマで展開される
マンガアニメがdアニメストアやニコニコ動画で観られる。
ピックアップした話を1時間ほど。
これを観ると作品の面白さや魅力が
より分かるので、視聴可能な人はぜひどうぞ。

子供を持つことの喜びがあふれていて、
女の子の子供が欲しくなる。
「かくしごと」で笑って泣くことで
大切な感情を思い出させてくれる。

※マンガアニメで気づいたタイトル
{netabare}原作でも有名な漫画をもじったタイトル付けをしていた。
ほかにもたくさんあると思うが、気づいたものだけ。

多重人格担当再呼→多重人格探偵サイコ
ハイケェー→ハイキュー
君はベッド→君はペット
徐々に奇妙な防寒→ジョジョの奇妙な冒険
僕だけがいないアシ→僕だけがいない街
七色インク→七色いんこ
レジャー→メジャー
レジャー2nd→メジャー2nd{/netabare}
(2020年6月27日初投稿)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 67
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

可久士は姫に嘘

原作未読 久米田作品初体験


東北新幹線仙台駅からさらに盛岡方面へ下ること4駅。“水沢江刺駅”の発着メロディを{netabare}『君は天然色』{/netabare}にしようという具体的な動きがございます。おそらく早晩実現することでしょう。言わずと知れた本作のEDに採用された日本のスタンダードソングです。大瀧詠一氏は江刺の出身。


{netabare}『君は天然色』
作詞 松本隆 / 作曲 大瀧詠一

 くちびるつんと尖らせて
 何かたくらむ表情は
 別れの気配をポケットに匿していたから

 机の端のポラロイド
 写真に話しかけてたら
 過ぎ去った過去(とき)しゃくだけど今より眩しい

 想い出はモノクローム 色を点(つ)けてくれ
 もう一度そばに来て はなやいで
 美(うるわ)しの Color Girl{/netabare}


大瀧氏が松本氏に作詞の依頼をしてすぐに松本氏の妹さんが倒れたため、依頼を固辞しようとしたのを発売予定そっちのけで待ってくれたという有名な話があります。残念なことにほどなく妹さんは亡くなられるわけですが、看取った後に歩いた渋谷の街が色を失ってモノクロームに見えたとのことでした。そんな松本氏が立ち直るきっかけになったのがこの曲の創作に向き合うことだったそうです。
レコード会社から代役立てろ!と急かされるのを突っぱねた“はっぴいえんど”以来の友情話もさることながら、明るくポップなジャケットの裏で、透き通った哀しみが伝わってくるとしたらそんな事情があるのでしょう。

作品に戻って『かくしごと』とこの曲。
とある理由でモノクロ世界の住人に堕ちてもおかしくない主人公後藤可久士(CV神谷浩史)とそんな彼にカラフルな色をもたらす娘さん後藤姫(CV高橋李依)との関係性が曲制作往時の秘話とシンクロします。

また前述の制作過程をどっかで覚えてたこともあって
大笑いとまではいかずクスッとできる塩梅のギャグだったり、
テクニカルな大瀧の曲みたいな詰め込みすぎちゃう?くらいの小ネタ投入だったり、
そして作品全体のポップさに隠れてる中で毎話顔を覗かせる哀しみのようなものだったり、
曲と作品との関連がよく出来てるなぁと感じた私です。
小ネタといえば毎度のサブタイもそうですね。漫画作品のタイトルをもじっていて、そのチョイスがど定番というより知ってる人は知ってる良作ばかり。あにこれやってる人は全部わかりそうなやつ。


なんだろなぁ…
すごいバランスがいいんですよ。過去作知ってると笑えるギャグ、わかりやすいボケ、通好みでマニアックなやつ、とベースとなるギャグのパターンが豊富だと感じます。そしてどれ一つ腹を抱えて笑うような破壊力はなし。
これは褒め言葉です。作品の主題が“お笑い+たまにいい話”でも“お笑い+最後にいい話”のどちらでもないから。一定レベル以下に抑えたギャグにしてるんでしょう。作品の早い段階でシリアス展開を想定できる演出だったのでギャグに全振りしたような中盤だと後々白々しく感じてたかもしれません。
それに“下ネタ漫画家”という本作の設定も絶妙だったかと。これが仮に“エロ漫画家”だったとすると一気にばれるばれないのサスペンス色が強くなって同じくバランスが悪くなってたと思います。


不満らしい不満はないかも。つまり満足。
作品の具体的なことあまり語ってない感想で恐縮ですがお察しください。それと自分は『絶望先生』含め過去作品を一切知らずに突入してますが充分楽しめたことを申し添えておきます。お薦めの一品です。




※余談

■永井博、鈴木英人、わたせせいぞう

夏のリゾート感たっぷりなイラストというジャンルがあるとしたら始祖にして御三家なんでしょう。オマージュ利いてるなぁと感じる場面多数でした。
あと細かいところであの人のモデルは東山魁夷ですよね。東山ブルーで有名な人。御三家もそうでしたし、イメージカラー“青”で統一されてました。


■刺さった父親の一言

愚直に娘が一番で最優先。素敵な父親じゃないか。

{netabare}第一話
アシ「いつも、俺は世間には迎合しないって言ってるくせに!」
父「はー?俺は姫に迎合してるだけだ」{/netabare}


■刺さった娘の一言

そう受け止められる娘さんに育ったことがもう…

{netabare}第六話
《ただ…父・母・娘の3人の家族が、平凡な日常を暮らすお話でした》
「つまらない日常こそが。一番の…夢物語だったのです」{/netabare}



さて、発着メロディ『君は天然色』に送り出されて上京する若者はその後の人生でどんな色をつけていくのでしょうか。
よく東北の人は寡黙だとか我慢強いとかいいますが、ことこの駅を使ったであろう著名人はごちゃごちゃ前に出てくるような人はいなさそう。職人気質な方ばかりな気がします。
例を挙げると「吉田戦車」「大谷翔平」「桑島法子」あたりw

だいぶ見劣りはしますが、約20年前にまさにこの駅から東京へと向かった10代の私もそのうちの一人。どんな色をまとうに至ったのか少し気になります。



視聴時期:2020年4月~6月 

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2020.12.19追記
《配点を修正》-0.1

その後無事に採用されたようで、2020年10月1日から導入されたとのことです。

東北新幹線の発車メロディー導入は、郡山(キセキ)、福島(栄冠は君に輝く)、仙台(青葉城恋唄)、一ノ関(夕暮れ時はさびしそう)、盛岡(ダイジョウブ)、新青森(青森ねぶた囃子(ばやし))に次いで7駅目。


2020.06.21 初稿
2020.12.19 配点修正/追記

投稿 : 2024/11/09
♥ : 65

66.3 2 ノスタルジックで小学生なアニメランキング2位
星を追う子ども(アニメ映画)

2011年5月7日
★★★★☆ 3.6 (648)
3189人が棚に入れました
ある日、父の形見の鉱石ラジオから聴こえてきた不思議な唄。誰かの心がそのまま音になったような唄を、忘れられずにいた少女アスナに訪れたひとつの出会い。お気に入りの高台に向かう途中、異様なケモノに襲われたアスナはシュンという少年に助けられる。アガルタという遠い場所から、どうしても会いたい人と見たいものがあってやって来たと語るシュン。2人は心を通わせていくものの、突然シュンはアスナの前から姿を消してしまう。そして聞かされる哀しい知らせ。それを信じられずにいたアスナは、学校の新任教師モリサキから地下世界の神話を教えられる。そこはこの世の秘密が隠されたあらゆる願いが叶う場所で、アガルタとも呼ばれているという。そんな中、アスナの前にシュンに瓜二つの少年と彼を追う謎の男たちが現れる。男たちの狙いは、アガルタへの鍵であるクラヴィス。追いつめられた少年とアスナの前で、ついにアガルタへの扉が開かれる。そこでアスナは、男たちのリーダーが亡き妻との再会を切望しアガルタを探し続けていたモリサキだったということ、少年がシュンの弟シンだということを知る。アガルタへの入り口を目前にして、アスナはある決意をする。「もう一度、あの人に会いたい」。アスナ、モリサキ、シンの3人はそれぞれの想いを胸に、伝説の地へ旅に出る―。

声優・キャラクター
金元寿子、入野自由、井上和彦、島本須美、日高里菜、竹内順子、折笠富美子

てけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

千と千尋のとなりの風の谷のもののけの城ラピュタ

「秒速5センチメートル」でおなじみ、新海誠監督の作品。

主人公の渡瀬明日菜は、日々自作のラジオで歌を聴いていたが、ふと聞こえてくる不思議な歌に惹かれる。
ある日、明日奈は奇妙な生き物に襲われるが、シュンと名乗る少年に助けられる。
彼は「アガルタ」から来たと名乗り、その不思議な歌を通して触れ合うことになるが、彼は間もなく亡くなってしまう。
そんなおり、転任してきた教師の森崎が「アガルタ」に伝わる「死者を蘇らせる伝承」について語り出す。


なんというか、ジブリの雰囲気を詰め込んだ作品です。
「千と千尋のとなりの風の谷のもののけの城ラピュタ」って感じです。
映像のクオリティは高く、良く動き、風景描写も美しいです。

しかし!!

登場人物の行動があまりにふらつきすぎです。
覚悟を決めたと思ったらやっぱり無理と言ってみたり(ある意味リアルなのかも)、お前は敵だと言った直後に助けたり(ある意味リアルなのかも)、正直、登場人物が何を考えて行動しているのかさっぱり分かりませんでした(ある意味リアルなのかも)。
特に主人公の明日奈は、ただ流されるままに旅をしているだけにしか見えません(ある意味リアルなのかも)。
ムスカ……もとい、森崎を主人公にしたほうが良かったのでは?と感じてしまいます。

テーマを挙げるとすれば「未熟さ」。

しかし、残念ながら成長が見られません。
一体何の目的で旅をし、何を得て帰ってきたのか、肝心な部分が明らかにされないまま、気がついたら話が終わっていました(ある意味リアルなのかも)。
そのせいで、せっかく張った伏線がうまく生きず、シナリオの軸がぶれて見えてしまいます。

宮崎作品へのオマージュが先にあり、そこにむりやりストーリーを埋め込んだような感じ。
おかげでいびつな形でシナリオができあがってしまっているのでしょう。

それでも、2時間視聴し続けられるだけの力はありました。
新海誠監督だから「あれっ?」と思うだけで、無名の新人が作ったと思えば、ものすごい作品です。

ということで、「新海誠監督はこんな作品も作れるんだぞ!」という、意欲作と捉えて、いくつ宮崎作品のオマージュがあるか数えながら観るのが正解かもしれません。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 52
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

“さよなら”を言うための旅

何かとあちこちで酷評を受けてしまってるようなので、
観始めた時、少々斜めに構えていたのだけれど、
なるほど、ジブリを相当意識していることは確かなのかも。

全体通して、随所に見覚えのあるキャラデザやシーンが満載で、
「こりゃ やりすぎだろう~~」とツッコミたくなるものの、
これはオマージュなのだと、あえて寛容に受け入れて観ることにした。

そして気づいた。

新海監督のこれまでの作品の最大の特徴であったモノローグが
無くなってるではないか、と。
良い意味でさっぱりしてるし、新しい試みへの意欲を感じた。
それでも、豊かな自然への美しい描写は健在だし、
手も想いも届かない距離感と喪失感、孤独感を漂わせるテーマには、
なんだ・・やっぱりちゃんと新海監督らしさでいっぱいじゃないか、と
最終的にはニッコリしている自分がいた。

さて物語のほうは・・

ヒロイン・明日菜とシュン、森崎と亡き妻、明日菜の母と亡き父、
3組それぞれに「残された者」の想いを軸として、
喪失をテーマに生と死を描いたお話。
主な舞台は、死者の復活すら可能にする技術があるという地下世界 アガルタ。

登場する中年男性の森崎は、亡き妻の死に目に会えず、
深い後悔と悲しみに囚われており、妻を甦らせることができるなら
何をも厭わない、というややエゴイスティックな性格。

明日菜は父を亡くしているだけでなく、看護師で忙しい母にも甘えられず、
出逢ってすぐ恋に堕ちた相手である アガルタから来た少年シュンをも
亡くしてしまい、喪失感でいっぱいな6年生の女の子。

そして明日菜の母親は、最愛の夫を亡くしてもなお、
自立し、前を向いて歩み続けている。
たぶんそうできるのは、娘である明日菜の存在が大きいのかも。
{netabare}
また、明日菜は半分、巻き込まれる形でアガルタへ旅立ったけれども、
その旅の理由は、森崎のそれと違うものだったということも大きなポイント。
はじめ、森崎と同じ目的で旅立ったはずが、いつのまにすり替わってる?と
誤解してしまいそうなのだが、それは単に森崎が言ったセリフに
観ているこちらがまんまと引っかかっただけのミスリード。
{/netabare}

さらに明日菜は、シュンを失った哀しみを知ることで、
自分の母親の深い哀しみと喪失感を理解するわけで。

世代や状況の違う3組を対比させて出すことにより、
観た人の感じ方には大きな個人差が出ると思うが、
綺麗ごとではない現実的な生と死とか、将来を考えさせるという意味では、
親子で観るのにふさわしい作品でもあるのではないかと思った。

後半部分で判明するあれこれを踏まえると、
終始、思いのブレを感じさせなかった森崎を主人公にしたほうが、
視聴者にはわかりやすく、新海ワールドにどっぷり浸れた気もする。

しかしジブリタッチを真正面から匂わせている以上、
女の子を主人公にして彼女の心の成長を描かなければ、
本当のオマージュにならなかったのだろうね。

また、この作品のテーマはおそらく、
「喪失を抱えてなお、生きる。 それが人に与えられた宿命」
ということではないかと。

森崎という人に焦点を当てて観ていくと、「秒速5センチメートル」
をはじめとする新海監督の作品に登場してきた主人公が
そのまま大人になったような感じなので、
監督ご自身の想いが一番込められた人物なのだろうと思った。

とにかく、映像も音楽も相変わらず美しい。
そうそうED・・・ 熊木杏里の歌う『Hello Goodbye & Hello』
歌詞聴いてると、この物語のテーマがさらによくわかると思う。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 51

ato00 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

生と死の狭間でこの世の真理に辿りつく

新海監督の2時間弱の長編アニメ。
往年の宮崎作品的なファンタジー冒険アニメです。
主人公は少女と教師、そして地底人の少年です。
舞台は、地上から地底へ。
そして、ラストに辿りついたのは・・・。

地底なのに太陽が?
なんて野暮はことは言いっこなしで。
美しい地底世界が幻想的に描かれています。

視聴中、ずーっと居心地の悪い感覚でした。
やっぱり新海監督にはファンタジーは似合わない。
繊細な心理描写がなおざりだったのは残念でした。
でも、ラストの生と死の解釈は様々な示唆に富んでいますね。

主人公アスナの声は金元寿子さん。
か細い声が役に良くあっています。
かな恵ちゃんがチョイ役でした。
それにしても、かな恵ちゃんの声は瞬時にわかるなあ。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 39
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